デルタ、パンナムを下す

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昨日から長時間メンテナンスでした。
でもって、まだ不安定だそうです。
何だかなぁ。

ところで、今日は日航が破綻しましたが、少ないマイレージ会員の私にすらお詫びのメールがやってきました。
生まれて初めて飛んだ飛行機に乗ったのがTDAで、大学の頃。
普通の人に比べると、随分遅かった様な気がします。
ボーイング系列はいまいち好みでなく、エアバス系列をよって乗っていましたが、とうとうフリートからエアバス系列がリタイアしていくんですね。
後、深夜便のMD80系列とか良く乗っていましたけど、考えてみたら、JAL系列の機材はB.767とかしか乗っていません。

親戚が全日空のパイロットをやっていたのに、なんて親戚不孝な奴だろうと(苦笑。
そう言えば、親戚が全日空(の前身である日ペリ)に入社した時、周囲はみんな「絶対潰れるで」と言って止めたそうです。
その全日空が、世界に羽ばたくことになるとは半世紀前は想像も付かなかったのでしょうね。
あ、この前、日ペリを作った美土路昌一の伝記を買ったんだった。
その表題が『現在窮乏、将来有望』というものです。

逆に、潰れたのが日航というのは、何だか歴史の皮肉を感じます。

その日航買収に名乗りを上げたのが米国のいくつかの航空会社でした。

その中の1つが、デルタ航空です。
1924年にアトランタで世界初の農薬散布会社として誕生し、1929年に旅客輸送を始めた老舗で、1953年にシカゴ・アンド・サザン航空を買収して、アメリカ中央を南北に結ぶ路線とカリブ海方面の路線を獲得し、1972年にノースイースト航空を吸収合併してニューイングランド、バミューダ、バハマ、カナダへと路線を延ばし、1987年にウエスタン航空を買収して一気にメガキャリアへと昇華しました。
その割には、家族的な経営を貫き、20世紀末にリセッションに見舞われるまで、社員のレイオフを一切行わず、業界一の労働条件と労働関係を誇っている会社です。
例えば、この会社のB.767の1号機は、社員やOB、関係者が寄付を募って購入し、会社にプレゼントしたものだそうです。
米国と言えば、ドライな労使関係を思いがちですが、こうした会社もある訳ですね。

それはさておき、この会社がニューヨーク~ロンドン間の大西洋横断路線に進出した時のこと。
当時、米国には巨像の様なパンアメリカン航空と言う会社が君臨していました。

普通に対抗したのでは勝ち目がない、そう思ったデルタ航空の首脳部が考えたのはパンナムよりも低価格路線を打ち出し、格安価格を掲げて参入しました。
しかし、相手も老舗です。
その価格は瞬く間に同程度まで値下げされ、今度はサービス合戦に移りました。

この時、デルタ航空が執った手段が、機内ランチにサラダを提供したことです。
それも、「蟹の脚」を入れた豪勢なもの。
こうした「豪華な」ランチを無料で提供してくれるという太っ腹な態度が乗客の人気を集め、デルタ航空は大西洋横断路線の旅客獲得競争に勝利し、遂には1991年に、破綻したパンアメリカン航空の大西洋線を買収するに至りました。

さて、その「蟹の脚」ですが、本当の蟹の脚なら、幾らあっても足りませんし、会社としても殆ど赤字状態になります。
幾ら、アラスカで鱈場蟹が相当量捕れるとは言え、それは高価な代物。
実は、この「蟹の脚」と乗客が勘違いした代物は、日本でもお馴染みの「カニかま」です。
日本国内でのカニかまの生産は7.8万トン程度ですが、生産は10カ国以上で行われ、世界中で年間50万トン以上に達しているという、インスタントラーメンに次ぐ、日本のヒット食品となっています。
因みに、この開発に関する特許は、国内でも国外でも取得されていなかったりします。

このカニかまが世に出たのは、1967年と比較的新しかったりします。
最初に売り出した時に、このカニ棒に行列が出来、忽ちの内に完売、更にその評判はインターネットのない時代なのに口コミであっという間に広がり、その日の中に購入出来なかった人は翌日の購入を目指して徹夜で並ぶという騒ぎとなり、その為、予約番号を渡して帰って貰ったと言う話もあったほどです。
こうした品薄状態が30日ほど続いたと言います。

米国では先ほどの機内食が切っ掛けとなって爆発的に売れ、1971年には本格的な輸出が始まりました。

元々、これの原料はスケトウダラの冷凍すり身です。
しかし、米国人はこのカニかまが鱈場蟹から作られていると信じ続けた為、多くの誤解が生まれました。

アラスカのダッチハーバーには、政府の振興策で、鱈場蟹の缶詰工場があって、多くの季節労働者を雇い入れていました。
ところが、原料の鱈場蟹が乱獲で不足し、経営が困難になるに従って、これが日米間の外交問題となり、日本への割当量をゼロにして米国の漁船が捕った鱈場蟹を日本に輸出する様に仕向ける政策を採りました。
1973年に日本に割り当てた量はゼロ近くになります。
にも拘わらず、日本から大量のカニかまが押し寄せて来るのです。
この為、米国は日本船がアラスカで密漁しているに違いないと疑い、日本船への監視体制が強化され、鱈場蟹資源量の再調査まで行われました。

そして、真実を認識した彼らは、日本政府に対し、スケトウダラ冷凍すり身加工の製造技術に関する知見を公開することを強く迫り、水産庁はこれに折れ、北海道庁が持っていた特許である冷凍すり身製造技術を無償で与えたばかりか、製造技術に関するノウハウをも米国側に提供する様、各研究機関に協力を要請しました。
しかし、1977年の200海里宣言で北洋漁場から日本漁船が閉め出された為に、水産庁の配慮は無に帰しました。

こうして米国はまんまとスケトウダラ冷凍すり身加工技術を手に入れました。
更に、大量に輸入されるカニかまに対し、米国は食料自給率を盾にして輸入量を制限し、米国内の製造を強く求める様になります。
日本の様に、全体の食料自給率40%を切っても国家がノホホンとしているような国と違い、先進国では食料自給率に関する認識は高く、例えばフランスでもカニかまの輸入量が10%に達すると、多くの国民が求める食品であるとして、輸入が止まった場合を想定して、国内での生産体制を構築すべく、モンペリエ大学に水産加工学科を新設したほどです。

このカニかま、元々はベーリング海で獲れる鱈場蟹が年々小型化し、輸出品である缶詰の生産量に支障を来す様になったのが誕生の切っ掛けです。
最初は、その蟹の細い脚を太く再生出来ないかと言うのが切っ掛けでした。
その結果、蟹の脚の筋肉を解して冷凍すり身で作った肉糊に塗し、大型の蟹脚の鋳型に詰めてから加熱すると、大型の鱈場蟹の脚と然程変わらないものが出来上がりました。
そうなると、今度はすり身で作った肉糊をどれだけ増やせるかと言う方向に開発が進み、蟹の脚を使う方は二の次にされました。
ただ、米国からすり身の添加量が15%であれば、King Crabだが、30%だとイミテーションだと言う指摘があり、それが日本のマスコミに知れて、イミテーション食品として叩かれた訳です。

そうした蟹の脚を使って蟹の脚を太く見せる技術からスピンアウトして、いっそのこと、全部をすり身で作れないかと言う研究が進み、1965年頃にその技術が完成しました。
これは2社が殆ど同時に特許を申請し、特許庁の調停も不調に終わると言う事態に陥ります。
結局、全国かまぼこ組合連合会が調停に入り、特許申請をしない代わりに、カニ棒製造装置を作る機械メーカーが、代金の3%を「特許使用料」と言う名目で全国かまぼこ組合連合会に納め、連合会が管理することで決着したと言います。

これは蟹の脚を縦方向に解すと、素麺の様な細い繊維に散けることに着目し、製麺技術を用いて、解凍したスケトウダラ冷凍すり身に塩谷蟹風味エキスを加えて粘りのあるすり身を作り、このすり身をスチール板上に厚さ1~2mm前後に薄くのばしてから水蒸気で加熱させてゲル化し、出来たシーツ状のゲルをスチール板から剥がして幅1~2mmほどの刻みを入れてロール状に巻いて薄いフィルムで包み、一定の長さに切断した後、出来たカニ棒を所定の本数だけ包装フィルムに取り、真空包装してから加熱するとカニかまが出来ます。

蟹の風味についてはジメチルサルファイドが主成分であり、蟹の殻から加熱抽出液を添加し、味はアラニン、グリシンなどの旨味アミノ酸の添加が重要であることが分った為、それを添加することで蟹の味を作り出しました。
また、蟹の色味についてはフィルムで巻く時にそのフィルムに赤色色素を含んだ風味液を塗抹しておくと、巻いた時に肉が液を吸い取り、赤く染まっていきます。

現在、これらの工程は全て自動化され、2時間程度で生産出来るそうです。
因みに、最近では更に技術が向上し、ずわい蟹の食感に限りなく近いものがあり、場合によっては紅ずわい蟹よりも美味に感じるものもあるとか。
しかし、イミテーション食品は日本では何時も一等下に置かれているもので、消費もそんなに伸びていないそうな。

とは言え、その内イミテーション食品が魚の代わりになる日もそう遠くないかも知れません。



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