神紋総覧

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今週から監査なので、アリバイ作りのために今日は統制文書の作成。
と言っても、ちゃんと書いていたものをPDF化する暇が無かっただけなのですが。
監査担当の人が、急に開発管理システムからのメールが増えたと言っていたらしい(苦笑。
そりゃ、8月からこっち、中々作業が出来ませんでしたから。

仕事を終えて、家に帰っていたらケータイに電話。
普通、コートのポケットに入れるので家に帰るまで絶対に気が付かないのですが、コートのポケットに入れられず、内ポケットにしまい込んだ御陰で電話が掛かってきたのに気が付いてしまい、途中駅で下車して対応する事になってしまいました。
明日は絶対に気が付かない様にしなくては(ぉ。

さて、そんなこんなで通勤の行き帰りに読んでいた本。

『神紋総覧』(丹羽基二著/講談社学術文庫刊)

読んで字の如く、神社が持っている紋所の全国調査の結果です。

そもそも自然崇拝から発生した神道(吉田神道や国家神道とは全く別の代物)においては、元々が巨岩とか山とか自然物が御神体であって、本殿の様な建造物はありませんでした。

その後、御神体は文字通りの神様になって抽象化され、自然物をその侭崇拝することから、本殿と呼ばれる建造物に御神体をおいてそれを拝む様に変わっていきます。
それでも、伊勢神宮は当初、シンプルな無垢の木で作った建造物が作られただけでした。
現在でも、伊勢神宮には神紋がありません。
但し、後世の人々が伊勢神宮に使われた建具の金具の形を誤解して、伊勢神宮の神紋はこれだと思い込み、伊勢神宮を勧請した場合、それを神紋に使っています。

神社個々を表す神紋は、中国から入って来た文化に影響を受けて、皇室や貴族達が家紋を作り出すのに影響を受け、神社が創り出していったものです。

独自の神紋を使う神社もありますが、多いのが権力者と結び付いた神紋です。
天皇と関係の深い神社では菊紋や桐紋、藤原氏と関係の深い神社では藤紋、橘氏と関係の深い神社だと橘紋、菅原道真を祀る天満宮に多い梅鉢紋などなど。

これが地方に行くと、地方で割拠した土豪の庇護をうけるべく、その土地の領主の家紋を神紋にする事が多くなります。
甲斐だと武田氏の武田菱、上野だと足利氏の二つ引両とか新田氏の一つ引両、下野が地盤の宇都宮氏は八幡神の巴紋、奥州は南部氏の鶴紋、千葉一族だと妙見菩薩から来た月星紋、美濃の斉藤氏の笹竜胆紋、近江は佐々木氏の四つ目紋、九州だと北九州地方は大友氏の杏葉紋が幅を効かせ、薩摩では島津の丸に十字が大多数となります。

その後、戦国が落着き、江戸期になると、今度はその地に封じられた諸侯の庇護をうける神社が、挙ってその家紋を神紋に採用します。
その最大勢力が言わずと知れた徳川氏の葵紋です。
この手のパターンは、他に伯耆や備後の池田氏の蝶紋、加賀は前田氏の梅鉢紋、北信濃では真田氏の六文銭、長門の一文字に三つ星は毛利氏…てな具合。

因みに、権力者が威張っていても、熊野神社、出雲大社や香取神宮、阿蘇神社、諏訪大社、鎌倉八幡神社などの様に古くから存在している大社と呼ばれる神社のある地域には権力者の威光が及ばず、こうした神社の紋所が周辺の小さな神社に採用されるケースが多かったりします。
逆輸入で、それが領主の家紋に使われる事もあります。

更に、伊勢神宮や八幡神社、天満宮などの本社から勧請して、その土地に神社を建立した場合は、勿論、その神紋を採用します。

面白いのは、こうした神紋は1つでは無く幾つもあるケースが存在することです。
そうした神社では表向きは例えば権力者に阿るためか、その権力者の紋所を使う事が多いのですが、儀式に使う際の紋所は、秘紋として神社の奥深くにしまわれていたりします。
この辺は世俗と信仰を両立させた先人の知恵と言えるでしょうか。

また、日本は四囲を海に囲まれた国でありながら、海に関係する神紋を用いている神社が非常に少ないのも特徴的です。
特に魚紋は一桁しか有りません。
この辺、古代日本の人達は海よりも陸に目を向けることが多かったのでしょうか。
非常に興味深い現象です。

この本はこうしたトリビアが目白押しで、飽きることがありません。
因みに、この本が出版されたのは今から45年前の1974年の事です。
最近でこそ、家紋の研究書がぼちぼち出て来ていていますが、その底本はこれらの本だったりします。
そう言う意味では、唯一無二の研究書と言えるでしょうね。

神紋総覧 (講談社学術文庫)
講談社
丹羽 基二

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