カナダから来た救世主

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やっと長い1週間が終わりました。
入院で持久力が落ちて、リハビリをしたものの、結構挫折しそうになって、幾度朝に休もうと思ったことか。
何とか仕事が出来てホッとしています。
とは言え、今日は流石に疲れが先に立って、定時上がりでした。

さて、昨日はAvroの失敗作の話を書いた訳ですが、この御陰でBOACは旅客や貨物が運べる機体であれば、何でも掻き集めて運航しないと路線が維持出来ないという危機に陥りました。
QantasやSouth Africa Airlinesと言った英連邦諸国は躊躇無く米国製の旅客機を購入したのですが、航空先進国の英国は米国製の旅客機を購入することに躊躇いがありました。

そんな中、英連邦諸国でTudorの購入をしなかったカナダから救いの手が差し伸べられました。

とは言え、それは米国製旅客機の魔改造バージョンだったりするのですが…。
この機体も、Tudorと同じく1943年に考案されたものです。
ただ、飛行機会社では無く、ユーザーであるTrans Canada Airlinesの首席技術者であるJ.T.Bayinと言う人物の発想です。
彼は自社の路線に1番合う機体を考えていましたが、英国とは異なり、柔軟な考え方を持って居ました。

彼の発想は、新規に開発するのでは無く、既に実績のある機体を改造する事で、安く、自社に合った機体を導入しようとしました。
そのモデルになったのが、既に米国で開発され、第2次世界大戦中に軍用輸送機として相当数が生産されていたDouglas DC-4です。
しかし、その空冷星形エンジンは燃費が悪く、震動も多いものでしたから、旅客機としては余り好ましくないと考え、その代わりに、自国でも生産し、震動の少ない液冷V12気筒のR.R.マーリンエンジンを装備する事を選びました。

この考えは、カナダ空軍からも支持を受け、1945年8月から早速Canadairで試作が始まりました。
試作機は、1946年7月20日に初飛行を行い、先ず空軍に納入されました。
この初期型は、DC-4M-1と呼ばれ、6機が生産されて空軍から一時的にTrans Canada Airlinesに引き渡され、大戦中に疲弊した機体の代替に充てられました。
但し初期型は与圧式の客室が装備されておらず、居住性が余り良くありませんでした。

カナダ空軍ではその後、返還された機体をVIP輸送を主任務とする第412輸送飛行隊で利用し、首相や総督と言ったVIP輸送に充当したほか、朝鮮戦争では、本国との連絡飛行を599回行い、3,178トンの貨物と13,000名の将兵を無事故で運んでいます。
1967年からは第426輸送飛行隊に転属し、国内基地間輸送に充てられて、1970年早々に退役しています。

民間型としては、1946年8月にDC-4M-2と呼ばれる最終試作型が初飛行します。
これにはDC-4に無かった与圧式客室が装備されており、近代旅客機としての体裁が整いました。
また、更なる騒音低減を狙い、Trans Canada Airlinesの技術者はエンジンの排気管を改造して6~8デシベルの騒音低下に成功しました。

この機体は、Trans Canada Airlinesから20機、空軍から17機の発注を受け、その生産が始まり、名称はCanadair C-4となって、1948年4月からTrans Canada Airlinesの各路線に投入を始めました。
Trans Canada Airlinesでは1954年にSuper Constellationに代替を開始するまで、米国とカナダを結ぶ国際線や欧州便で活躍しました。

この成功を見て、ライバル会社であるCanadian Pacific Airlinesが1949年春に4機の引渡しを受けましたが、更に多くの機体を採用したのが他ならぬBOACです。
Tudorが失敗に終わり、代わりの機体を探していたBOACは、カナダでまともな輸送機が生産されていることを知って、1948年7月にこの機体の採用を決めて22機を発注しました。

BOACではArgonautと名付けられ、Aで始まる機体名をそれぞれ宛がわれて、1949年11月までに全機が納入されます。
この機体が引き渡されて初めて、BOACでは主要路線機材の近代化が完成した訳です。
因みに、BOACでは本家Rolls-Royceの支援を得て、エンジン騒音の更なる低下を図るべく、改造キットを開発して取り付けました。
これにより、騒音レベルが5~8デジベル低下したばかりで無く、馬力が1基当り38馬力向上し、速度は10km/h、航続距離も4%程向上しています。

この機体で有名なエピソードとして、Atlantaと名付けられた機体が、1952年2月1日、エジンバラ公とエリザベス王女を乗せてケニアへ飛行します。
2人は英連邦諸国を巡るツアーを行う予定でした。
しかし、国王ジョージ6世の急逝を受けて、2月6日に新女王となったエリザベス2世を乗せてロンドンにとって返したのも同じ機体でした。

因みに、BOACでは1958年まで主力機として活躍し、1960年に退役が完了しました。
その後、これらの機体はBritish Midland AirwaysやOverseas Aviationなどの中小航空会社に売却され、チャーター輸送や貨物機に改造されて更に長く活躍を続けています。
最後に飛行したのは実に1975年6月19日の事です。

変わり種として、1950年にCanadair C-5と呼ばれる機体が1機だけ試作されました。
これは機首を伸ばし、DC-6の様にして、エンジンも空冷星形のR-2800エンジンに換装したものです。
これも第412輸送飛行隊に引き渡され、17年間に渡りVIP輸送に従事しました。
その後は、練習機となり、最後は米国に売却されています。

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