棺桶に片足突っ込んで帰ってきました

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先週木曜に高熱を出して、こりゃいかんわい、と、金曜に会社を休んで病院へ。
一応、今回は何時入院しても良い様に、着替えも洗面道具も、暇潰し用の本も、バッテリーに充電器にノートパソコンで、写真の整理をすべく外付けSSDとかWiFiルータも持って行きましたが、入院の時に直ぐに出せる様に…、ただ診察には邪魔なので、玄関のコインロッカーに荷物は放り込んで何時もの様に飛び込みで診察室へ。
幸い、消化器内科の部長さんが診察当番で出ていらしたのですが、2本突っ込んだステントが、細かく分岐している胆管を塞いでしまい、そこが炎症を起こしているのでは無いかと言う診断が為され、救急措置室で抗生剤の点滴を受け、採血されて、レントゲンを撮りに行きなさいと云う事になりました。

行きは元気よくレントゲン室の前まで行って、胸と下腹部のレントゲン撮影を終えたのですが、服を着て外に出た瞬間、強烈な立ちくらみというかまさに「ぐぁ~~~~~」となって、心臓が苦しくなり、立っていられなくなって、目の前にあった待合のソファに寝っ転がる。
その時、珍しくレントゲン室の待合には誰もいなかったのですが、ふと目を転じると人の足が見えたので、声を振り絞って、「だづげて下さ~~~い!」(正にこんな感じの言い方)と叫んだら技師さんが気付いてくれました。

慌てて起こしてくれたのですが殆ど意識朦朧状態。
近くの看護師さんや、電話で救急措置室にいた常勤医とかが駆付けて、ストレッチャーで救急措置室に運ばれましたが、体温が急激に低下するのが判りました。
レントゲン室から救急措置室までそんなに距離がないのですが、時間が凄く掛かった様に思えます。

あっと言う間に裸にされて、術衣を着せられ、鼻に酸素チューブを付けられ、血圧と血管内の酸素濃度を測ったのですが、後者は完全に測定不能、前者は最高血圧が50ちょっと(正常な人の半分程度)しかありません。
そりゃ、頭に血流が回らなくなって頭の中がグルングルンするはずです。
そして、手や足は冷えて痙攣を起こしていました。

酸素チューブからの吸入があまり効果がなさげだったので、酸素マスクに切り替えられ、一酸化窒素吸入量法を施された模様。
これは一昔までは新生児とか幼児に行われたものだったのですが、最近になって成人にも適用されていて、低酸素状態の場合に肺の血管を広げて吸入酸素量を増やすという治療法だそうです。

何回か問いかけられましたが、完全に意識が飛んだ訳では無かったので、受答えが出来たのが勿怪の幸い。
ただ途中で尿意を催したので、「おしっこ」とか口走ったのでしょう。
尿道にカテーテルを突っ込まれることになりました。

抗生剤と輸液の点滴と、酸素吸入の御陰で数時間後には血圧が上がり始め、何とか血圧は正常値に、そして血中の酸素濃度も測定出来る状態に戻りました。
まぁ、御陰でそのまま入院となりましたが…。

後から聞いた話ですが、先生の予想通り、細い胆管で炎症が起きていた様です。
胆管の近くには血管があり、炎症の起きた胆管から毒素が出て、そのまま全身に流れ、全身に悪影響を及ぼした、俗に言う「敗血症」という状態に陥り、更にその中でも重篤な「敗血症性ショック」に陥った訳です。

これが出先とか家の近くで起きていたとしたら、救急車で最寄の病院に運ばれたとしても、毒素が出ている部位の特定に手間取る危険性が無きにしも非ず。
たまたま胆管炎の主治医の病院内でぶっ倒れたので、どんな毒素が出ていたかと言うのが直ぐに同定出来たのと、偶々、敗血症となる直前に抗生剤の点滴を受けていたのが幸いでした。
因みに、敗血症という病気、毒素が出ている部位の同定が1時間遅れると生存率が下がり、3時間遅れると死に至る確率が急上昇する怖い病気です。
また、病院の医師のレベルによっても延命率が異なり、設備が整っていたり、経験豊富な医者がいる病院でも致死率は10%、設備が整っていない、或いは経験不足の医者がいる様な病院だと実に致死率25%に達すると言います。

本当に、ほんの10分前はまだ元気だったのに、短時間で人の命に関わる状態にまで陥る敗血症は、非常に恐ろしい病気だと言う事を改めて認識しました。
何しろ、敗血症なんて言う病気自体、無縁だと思っていましたからね。

取り敢ず持ち直したので、局所麻酔無しで緊急内視鏡手術。
この頃には大分意識が回復していましたね。
局所麻酔を入れるのをオミットしたので、何度か胃液を吐きましたが。
中に留置していたステントを引っこ抜いてステントの代わりにドレン管を胆管に埋込み、鼻にそれを伸ばして胆汁を外に出すと言う措置をしてから、その侭入院。

病院の前のコインロッカーに放り込んであった着替えなどの荷物は役に立ったのですが、毎回熱のせいかボケていて、薬を持ってくるのを忘れたのと、健康保険限度額適用認定証、それにパソコンを持って来たのに電源を忘れるという大ボケを為出かしました。
特に処方薬を持ってくるのを忘れたのは痛くて、院内処方で既存の薬も退院時に1ヶ月分貰う事になってしまって、まぁ、これを当面飲み続けるしかないのかな、と。

外に胆汁を出すというのは、中に流して再度毒素が流れるのを抑止する手法だそうです。
御陰様で、水曜までずっと、ドレンが鼻から出ていて、しかも少しでも引っ張ったりしたら全然別の所の体液が排泄されてしまうことから、初日はミトンみたいな手袋を装着させられ、鼻に手をやらない様にされました。
寝相が良いのと、CPAPを普段やっている関係上、2日目からはミトンは付けずに済みましたが。
大体、1日で100ccくらいの胆汁がドレン袋に溜っていました。
しかし、鼻からドレン管が出ているので、鼻の頭には固定用の絆創膏、更に頬にも管を固定する絆創膏が貼られていたので無闇に顔を触れず、おでこと目のまわりを除菌シートで拭くくらいしか出来ず、ヒゲも伸び放題でした。

金曜は完全に安静にして、土曜には排尿カテーテルが外れ、毎度おなじみトイレまで歩いて、大やら小やらがちゃんと出るかを看護師さんに確認してもらいました。
日曜日からは飲料止めが解消されましたが、口の中カラカラ、舌にも苔が生えていて、唇は皮がめくれ、偉いことになっていました。
薬用リップクリームを持ってくるのを忘れたのも痛かった。

お粥さん主体の御飯も今週に入って復活しましたが、入院中、遂に固形飯にはなりませんでした。
と言うのも、木曜に再度内視鏡手術を受けて、今度は再度ステントを留置する手術をしたから。
此の日、事前に医者から点滴針を入れて貰う事になっていたのですが、起き抜けで血圧が低かったのか、未だインターンの研修医だったからなのか、針を挿しては外し、挿しては外しで、右腕に都合八箇所もの穴が…(苦笑。
インターンの研修医2人目が来ても上手く行かず、3人目のベテランの人が来てやっと針を入れてくれたのですが、丁度関節に当たる場所でしたので、こっちがちょっと色々手首を動かしたら、どうも針が曲がってしまったようです。
事前準備の抗生剤を点滴する看護師さんが一目見て、駄目出し。
やっぱり餅は餅屋と言うべきか、慣れていると言うべきか、曲がった針を外して一発で狙った場所に点滴針を打ち込んでくれました。

…まぁ、看護師さんもそうだけで医者も丁度、OJTが開始される頃だからねぇ。

余談ながら、今回は3年前に入院した階と同じ階だったので、看護師さんも顔見知りの人も多く、「また入院ですか」なんて言われつつ、こっちとしてもリラックス出来ました。

ステント設置については、局所麻酔ありの状態で術式を受けたので、金曜みたいに吐きもしませんでした。
そして、2本目のステントを入れた胆管は幸いにして拡がっていたので、新たにステントを入れる必要は無いと判断し、ステントは1本だけに留めました。
ま、この手術を受けたので再び飲食止めからスタートして翌日昼に全粥でスタートし直した訳です。

因みに、普通の患者さんの場合、2週間以上の入院期間が必要らしいのですが、体重が3月に比べると11kg減ったのと、体力がかなり落ちたほかは、回復が目覚ましく、今日退院となりました。
丁度平成から令和に至る頃に、入院していた病院は新病院に引っ越す事になっていました。
改元と病院の引越しと言う二重の意味で一瞬期待してワクテカしたのですが、私の治りの方が早かったようです。

当面は油物や生もの、コレステロールの高い食品はなるべく避ける様にして、再び敗血症で倒れない様にしないといけないですし、そもそも、胆管の炎症もどうにかしないといけませんね。
今月は未だ10連休があったから良かったですが、来月に同じ様に入院となると、もう年休に後がありませんから。
ただ、胆管狭窄はこればかりは何時起きるか判りません。
身体の中に抱えている爆弾と、如何に共存するかと言うのをちょっと考えないといけないでしょうね。

それにしても、簡単に死を捉えている人もいるかと思いますが、血圧50まで下がった状態で死ぬのはかなり苦しいものがありますよ。
「走馬灯の様に人生が…」とか「花畑が見える…」とか「知り合いが手を伸ばしてきて…」とか言うのは全くありませんでした。
あれで死んでたら完全に化けて出るパターンですね、世の中に未練がありすぎて。
死というものを軽く考えているのであれば、考え直した方がいいです。
死の淵から生還した私が言うのですから間違いないです。

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