農民車の時代

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流石に月曜日休みとは言え、退院してから未だ1週間程度なので、疲れが溜っています。
朝が遅くなって、始発電車に乗れないので、立ちっ放しと言うのも地味に効いていたり、運悪く赤羽岩淵行きとか王子神谷行きの後の激混みベタ遅れ電車に乗ってしまい、座れないと言うのも効いています。
早めに帰ろうと努力はしているのですが、17時から会議を入れる人もいるからねぇ。

時に、最近、トイレでシトロエンに関して書かれた本を読んでいます。
読後にまた感想を書こうと思っているのですが、ここ最近、痛ましい交通事故が相次いでいるのでちょっとシトロエンについて書いてみる。

シトロエンと言えば、時代の先を行く自動車メーカーとして認知されています。
逸速く先進技術を導入していますが、ただシトロエンがオリジナルで作ったものは少なく、初期の頃は米国の先進企業が開発したものに逸速く目を付け、パテント料を払って製造権を買い受け、欧州に逸速く展開する事に長けていたメーカーだったりするのが実態でした。

フォードに倣って大量生産技術を取入れ、バッド社からプレスによるボディー製作技術を取入れ、モノコックボディの導入も同じくバッド社から取入れて、高級車部門をヴォアザンに売り払い、大衆車メーカーへと脱皮しました。
そして、FF車として大々的に売り出されたトランクアビアシオンのFF技術もまた米国のバッド社からの技術移転です。

しかし、そのトランクシオンアヴァンの発売が、丁度世界大恐慌と被ってしまい、資金繰りに窮して、心労で創業者のシトロエンは死んでしまいます。
その自動車事業を引継いだのがフランスのタイヤメーカーであるミシュランでした。
ミシュランは、自動車事業を自社の1つの部門にすること無く、シトロエンとして独立させ続けますが、一方で彼等の理想とする車を作ろうとします。

当時、欧州で一世を風靡したのが「国民車」構想でした。
一番有名なのが、ドイツの文字通りの「国民車」であるフォルクスワーゲンですが、例えば英国だとオースチン・セブン、イタリアではフィアット・トポリーノです。
国家が出しゃばったフォルクスワーゲンとは異なり、オースチンやフィアットの思想としては、国民に手が届く車をまず自動車メーカーとして提供すると言うものであり、部品点数を少なくした結果、小型でミニマムサイズの自動車になり、2人乗りがやっとの余裕の無い車体となります。
そのフィアットはフランスではシムカがライセンス生産して、それなりに売れていました。

で、ミシュランもそうした国民車を手がけようと考えました。
パリに工場を置いて、都会的なセンスを誇っていたシトロエンとは異なり、郊外の、どちらかと言えば農村部に工場を置いていたミシュランは、労働者のための車と言うよりは、当時フランス国民の大多数を占めていた、農民のための車、「農民車」を作ろうと思い描いた訳です。

その設計方針は、「頑丈で、燃費が良く、農民が自分ちの畑で作った作物を満載して市場に売りに行く為に用いる自動車」であり、スタイリングは完全に従来のシトロエンとは異なり二の次。
荷物を満載出来る様、従来の2人乗りでは無く、4人乗りとして車体を構成し、その車体を形作る鉄板は極力薄く、一部ではアルミ合金を用いて車体を軽量化し、燃費の向上を目指す。
一方で車体はモノコックボディにして剛性を確保する。
サスペンションは、前輪は独立懸架にして乗り心地を良くし、後輪はトーションバーで荷物を満載出来る様な簡便な構造とする。
余計なプロペラシャフトなどの部品を取り付けてしまうと部品代が掛かるので、以前のトランクシオンアヴァンの様にFF構造とする、但し、エンジンは従来の直列4気筒や6気筒エンジンでは全長に占めるエンジン収容部が長くなるので、2気筒水平対向とし、高さを抑え、またエンジン収容部の長さを減らして鋼板を削減すると共に、エンジンフードには軽量化の為と剛性確保の為、コルゲートが施されています。
当然、エンジンは必要最低限の走行性能で、燃費重視です。
また、屋根も金属板では費用がかかるので、幌とする。
更に、夜間走行の為のヘッドライトも費用削減のため、2つでは無く1つとする。
などなど、質実剛健を絵に描いた様なデザインになりました。

こうして、1937年から1940年にかけて試作車が作られますが、戦争で一旦御蔵入りとなり、戦後に開発が再開されて、車体デザインは質実剛健からフランスらしい優美な形となって、1949年に2CVとして世に出た訳です。
これには実質的支配者としてシトロエンに君臨していた創業家ミシュラン一族が急逝した為に、シトロエンの技術者のセンスが取り込まれたと考えて良いと思います。

とは言え、あくまでも「農民車」としての位置づけなので、車輌性能はそこそこです。
高速道路をかっ飛ばす車では無く、あくまでも、郊外の農村と都市部の市場への輸送手段としてのもので、偶に余暇があった時に家族旅行に出るくらいのものと言う思想でした。

翻って、日本の今の車作りを見ていると性能に拘りすぎている様な気がします。
その割には、都市インフラは貧弱で、歩行者を守るどころか、自動車が優先されすぎな感じ。

先日、昭和橋から鳩ヶ谷駅入口までの信号の間に2箇所あった横断歩道のうち、昭和橋に近い方の横断歩道が廃止されました。
交差点改良工事で右折用のレーンを作ったところ、その起点が横断歩道に掛かってしまい、結局横断歩道の方が廃止されたという本末転倒な有様。

御陰で歩行者は身を縮めて歩かないと行けない場所も多くあります。
今日の帰り、横断歩道を渡っていたら、向こうから来た軽乗用車がトロトロトロと走ってきたのですが、止まる事無く横断歩道を通り過ぎました。
慌てて道路を渡りましたが、あれ、もし私が横断歩道で立ち止まったりしたらどうするつもりだったのでしょう。

米国のライフル協会と同様、自動車メーカーが日本の主要産業として君臨している限り、人が優先の社会にはなれないのでしょうかね。
思考を逆転させないと、今後もこうした事故は増えこそすれ、減ることが無いのではないでしょうか。

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